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考課者研修のあり方?
 目標管理制度の導入、運営している企業において、制度を運用する管理者を
対象に考課者研修を行っている例は、かなり多いと言えます。考課者研修の主
な目的は、社内の人事制度、評価制度に関する理解を深め、考課基準の標準化
を図ることと言えます。
 しかし、実際の現場では考課者研修や考課者に対する情報提供すればするほ
ど、考課制度正しく理解、運用できる管理者とそうでない管理者のギャップが
大きくなっている、またそういう状況を見た経営トップ層からは、「管理者の
運用レベルに問題がある何とか改善しろ」と言われ、パニックに陥っている教
育部門の方も少なくないようです。

 こういうケースの特効薬は?と言われても、正直なところ、これで大丈夫で
すと言うものはありません(少し無責任な感じもしますが...)。企業によっ
て運用時の背景などそれぞれ状況が違うため一概には言えませんが、間違いな
く言えることは、管理者の考課スキル(テクニック)の問題と言うよりも役割
認識(ミッション)の問題であると言えます。

 そういう意味では、まずは人事制度、評価制度のあり方、特に経営における
人事考課の必要性について徹底的に理解を図ると言うことが必要になります。
そのためには、経営トップ層を動員してその必要性を周知させることも必要に
なるかと思われます。その次に、運用面でのスキル向上を目指した考課基準の
共通理解の促進など、情報提供が必要になります。役割認識の上に、スキルアッ
プを図らなければ効果が得られないことは言うまでもありません。

 人事考課の重要性、運用者として管理者の役割の重要性を理解できる方は、
多少時間がかかるにしろ、研修や情報提供を行うことで改善が期待できます。
しかし、人事考課そのものについての運用者としての期待される役割を認識で
きない場合は、どういう方法を行っても改善は期待できません。運用できるま
で、教育コストをかけつづけることが正しいことかどうかを判断する必要もあ
るかと思われます。
 もっとつきつめて考えれば、社員のパフォーマンスを向上させる必要条件と
して、人事考課の正しい運用を掲げるのであれば、運用できない管理者の方に
は、残念ながらそのポジションから降りていただかなければなりません。運用
できないことは単に個人の問題ではなく、組織、会社全体のパフォーマンスの
低下につながるためです。勿論、実際に降りていただく方にも再度チャレンジ
できる環境を提供することも必要になります。

 人事教育部門においては、社員に成長する機会を与えるのが基本です。しか
し、経営と連動して、経営戦略を推進するための人材を「いつまでに」、「ど
のレベルに」と言った目標値を絶えず意識して人材開発を進めなければなりま
せん。人材開発を進める中で、経営戦略の推進を阻害するものがあれば、その
原因を追求し、取り除くことも要求されます。経営環境が激変する中では、た
だ単に教育する、研修するということではなく、経営に必要な人材の供給が経
営の命運を握るという視点から、人材開発を考えることが今後ますます要求さ
れると言えます。


             (2001/09/24 人材開発メールニュース第155号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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