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社内広報と人材開発の共通課題
 先日、日本経営者団体連盟(以下日経連)が発行する『日経連タイムス』に
社内広報という記事が掲載されていました。

※日経連タイムス 主張「経営変革時代の社内広報」
 http://www.keikyoweb.gr.jp/nikkeiren/headline/2000/2000_11/03/01.htm

 11月8、9日に実施された日経連社内広報センター主催の第39回「全国
社内報大会」で議論された、社内広報(社内報)に関する現状の課題や今後の
あり方について指摘されたものですが、人材開発(育成)と全く同じ状況であ
ると言えます。上記の通り、WEB上でもこの記事が公開されていますので、
是非ご一読いただき、その上で「社内広報(または広報、社内報)」という言
葉をそのまま「人材開発(育成)」という言葉に置き換えて読んでいただくと
納得いただけるのではないでしょうか。

 以前のコラムにも書きましたが、人材開発の目的は経営を推進していくため
の人づくりであり、人材開発の本質的な機能は、社員の方々の戦力アップ以前
に社員の方々に経営の価値観や意志を共有させるいう、組織と個人、組織と外
部関係者のコミュニケーション機能があると言えます。

 しかしながら、人材開発の現場では、どのようにして教えるか、どのように
教育効果を測定するか(勿論大事なことではありますが)という議論が中心で
あり、残念ながら経営者の価値観や意志を共有するために何が必要かという議
論が行われている企業は少ないように思えます。
 先日、株式会社日本能率協会マネジメントセンター主催の「HRMワーク
ショップ」で神戸大学経営学部教授の金井壽宏先生の講演を拝聴する機会があ
りました。その会場においても「経営企画部門と教育部門の人事ローテーショ
ンはありますか?」と受講者に質問されたことが非常に印象に残りました。残
念ながら「実施している」と挙手する人はいませんでしたが、これからの人材
開発を考えるにあたり、重要な問いかけであったような気がします。

 社内広報の記事も含めて、人材開発・人材育成に経営者の価値観や意志を共
有する(=共有できる人材を用意する)機能が必要であると考えれば、教育部
門や教育担当者は、今まで以上に経営の上流工程に対して踏む込むことが必要
になると言えます。また、経営者の価値観や意志を共有することが人材開発の
機能であると考えれば、教育・研修という方法論にとらわれず、もっとたくさ
んの選択肢・手段を探す必要があるのではないでしょうか?


             (2000/11/27 人材開発メールニュース第115号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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