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人材育成担当者への期待
 最近、様々な企業特に成長している企業において、ビジネスチャンスはある
にもかかわらず、「人材がいないために事業展開が進まない」という言葉を聞
くことが増えました。また同時に、そういった企業のトップの方々から、「人
材育成に詳しい人材はいないか」と聞かれることケースが増えています。
 転職情報誌などで転職情報を見ていると、教育担当者の求人がかなり増えて
います。多くの企業で専門性が高い教育担当者が欲しいというニーズが高まっ
てきていると言うことですし、逆に言えば、現在の教育部門、教育担当者のパ
フォーマンスが、要求水準、期待水準に達していないために、外部から即戦力
の人材が欲しいと言うことではないでしょうか。

 実際、人材開発の現場のいたるところで、人材育成部門の人材をどのように
育成するかと言うことがよくテーマとして揚げられます。企業内の人材育成が
どのように進むかは、人材育成担当者のレベルで決まることが顕著となり、経
営サイドで要求する「事業に必要な人材」を「必要なタイミング」で育成する
というテーマに応える人材育成担当者が欲しいというニーズは確実に高まって
るようです。
 特に最近の人材育成の現場で要求されているのは、スピードではないでしょ
うか。従来、人材育成のスケジュールを考える単位の多くは、「年間研修スケ
ジュール」というように1年間でした。しかし、最近では、「ドックイヤー」
という言葉に代表されるように、環境変化のスピードが早く、経営サイドでも
育成スパンの短期が要求されています。また同時に環境変化のスピードが上が
れば上がるほど、教育した内容がすぐに陳腐化するという現象も起こります。
 したがって、人材育成担当者には、単に人材を育成するだけでなく、経営サ
イドから人材育成のオーダーがあったときに、本当に自社内でやるべきものか、
投資すべきものかを瞬時に経営サイドにフィードバックする役割が期待されて
います。また投資するのであれば、どこに、いつ投資するかと言うことも、早
急に回答しなければなりません。単なる人材育成にとどまらず、経営スタッフ
として専門性の高い人材育成担当者の出現が望まれています。

 一方、人材育成担当者の育成を取り巻く環境を見ますと、人材育成担当者を
育成する方法は全く確立していない言っても過言ではありません。教育機関で
実施される人材育成担当者向けのプログラムと言えば、インストラクター養成
など、指導するスキルアップを図るものは充実していますが、教育そのものを
企画するといったものに関しては、色々な試みが行われているもののこれと言っ
たプログラムが無いと言うのが現状です。

 人材育成担当者の育成は、本当に重要なテーマであると言えます。私共のホー
ムページ「人材開発ネット★情報BOX」もそうですが、もっと様々な場面で、
人材育成を企画する場面の情報が交流される必要があると考えます。企業、教
育機関などの枠に関係なく、人材開発に携わる全ての人々が、共通課題として
認識し、情報交流を進めていくことがますます必要になると言えます。


             (2000/11/06 人材開発メールニュース第112号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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