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人材開発の機能と外部機関の活用について
 人材開発の本質的な機能は、組織内外のコミュニケーションであり、人と組
織、または組織と組織のよりよい関係を構築することであると私は考えていま
す。もう少し、平たく言うと「分かり合うことで関係をよくする」と言えます。
人材開発の目的は経営を推進していくための人づくりと言われていますが、そ
の前提として、どんな人材が必要か、期待されているかについて、組織・個人
ともに共通の認識が必要です。人材開発を進めていくために、研修や改善制度
など様々な手段が考えられますが、やはり各手段(=プログラム)設計の段階
から、期待される人材のあるべき姿というのが、共有されることが必要です。

 人材開発、教育という言葉は、得てして教えるとか育てると言うような、誰
かが誰かに何かをするというイメージがありますが、本質的には一方通行のも
のではなく、人材開発の諸活動の中で活動を仕掛ける側(組織)と受け手側
(個人)がお互いに分かり合うことで(逆に言えば、分かり合えない部分や、
わかりにくい部分を認識しあうことで)、よりよい関係を構築し、組織・個人
の両者の成長につなげていくことです。また分かり合う部分、分かり合えない
部分、わかりにくい部分を次の人材開発活動につなげていくことが必要です。

 人材開発も、他のマネジメント活動と同様にP(Plan)→D(Do)
→S(See)が存在します。これまでまた現在でも、Doすなわちどうやる
かと言うことのウエイトが大きかったような気がします。人材開発を企業を成
長させる一連のシステムという考え方をすれば、今後はますますPlanおよ
びSee部分の重要性が高まることは言うまでもありません。
 私のような外部から人材開発をサポートする立場から考えると、これまでは
外部機関への期待も、どういうプログラムを実施するかということが重視され
ていました。少しずつではありますが、企画部分からサポートを依頼されるケー
スも増えてきておりますが、最終的な企業側の評価(投資)は、Do=プログ
ラム部分が重視されることが多いのが現状です。もはや、一般的なプログラム
で解決できる部分は少なくなっています。

 そのような環境の中で企業が外部教育機関を利用する場合には、もっとPl
anおよびSeeの部分への関わりを要求すべきだと思いますし、外部教育機
関は今まで以上に、Plan、Seeの部分への関わりを持てる、期待に応え
る専門性を磨くことが必要になります。人材開発をその時々の一方通行のサー
ビスとして考えるかぎり、経営側の期待(投資に対する効果)に応えることは
できません。
 期待に応えるためには、人材開発を双方向のサービス、一連のシステムとし
て評価することがますます大切になるのではないでしょうか。


             (2000/08/28 人材開発メールニュース第102号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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