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研修アンケートの運用について
 研修の効果を測るもの一つとして、研修(受講者)アンケートがあります。
受講者アンケートをどのような内容にするかというのは、教育担当者にとって
は非常に頭が痛い問題です。どのようなフォームが必要かいう課題に対して、
絶対的な答えはありません。研修の目的・目標に応じて様々な創意工夫の試み
ることが一番大切ではないでしょうか。
 今回は、アンケートのフォームそのものよりも、運用方法の工夫について少
しお話したいと思います。(勿論、読者の皆様方の中には、既に取り組まれて
いる方もいらっしゃるかと思いますが...)

 集合研修の受講者アンケートは、研修終了時に受講者に記入していただくや
り方が一般的です。ただし、この場合、研修直後の前向きな心理状態の中で内
容で書かれているため、研修内容関しては良好な回答が多い、また研修終了時
点の回答であるため、実際に現場に帰ってどのように活用できたかを把握する
ことができないという点を注意しなければなりません。
 そのため、最近では1回の研修でも、受講者アンケートを複数とられるケー
スが増えているようです。例えば、研修直後には研修の内容に関するアンケー
トを、そして3ヵ月後に研修内容と併せて実務にどのように役立っているかを
再度アンケートをするようなケースがあります。中には半年経過後に研修内容
のアンケートをとり、どの程度内容を覚えているかまた役立ったかを測り、研
修そのものの評価をしているケースもあります。
 また、研修によっては、研修時に行動計画書を作成させ、ある一定期間経過
後にその進捗状況を併せて報告させるケースも良く使われる手法です。
 このようにアンケートのタイミングを変化させることで、情報をより多く集
めることも大切な運用方法の一つです。

 また、アンケートの記入者を増やすことも効果的な一つの方法です。例えば、
受講者本人が記入するだけでなく、現場を巻き込むという方法があります。
 受講者が研修の感想や今後の目標などを記入し、現場に持ち帰り上司に研修
報告を行い、上司がコメントを記入した上で、教育担当部門へアンケートが回
収される方法などが代表的なやり方です。この方法では、研修を受講した者だ
けでなく、上司を意図的に参加させることで、上司に対する部下指導の機会を
作り出すというメリットもあります。集合研修とOJTを連携させることで、
より研修の効果を高めようとする方法です。
 余談ですが、このようなケースで寄せられる上司のコメントには、部下を日
頃どう見ているか、また実施された研修、また会社が実施している教育そのも
のをどう考えているか等、教育担当部門としては参考にすべきデータが詰まっ
ていることが多いように思えます。

 いずれにせよ、研修アンケートは集計して分析したものを、いかに次に活か
すかが何よりも大事です。そのためには、情報を入手するタイミングや方法の
現状分析を行い、より多面的なデータを集める運用方法の改善も必要であると
言えます。


             (2000/05/15 人材開発メールニュース第88号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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