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集合研修の3つの要素
 集合研修(OFF−JT)を企画する場合、必ず考えなければならない3つ
の要素があります。受講者、講師、プログラムの3つです。集合研修が成功す
るかどうかは、この3つの要素をどう組み合わせるかとことで決まると言えま
す。

 例えば受講者の場合、2つの考え方があります。一つは受講者が既に決まっ
ているケース…例えば従来型の階層別研修に代表されるような、新入社員研修
や新任管理者研修などのケースで、受講者は所与の条件であり受講者に何を教
えるかということを考えるケースです。もう一つは、教育の目的や目標が先に
決まっているケース…選抜型研修に代表されるような講師やプログラムは先に
決まっており、受講者をどう選ぶかというケースです。
 前者の場合では、既に受講者は決まっていますので、受講者の課題を洗い出
し、教育目標を設定することで、講師とプログラム内容が決定されます。また、
後者の場合では、事業戦略を推進する人材という視点から、全社的な人材開発
上の課題が洗い出され、その課題を解決するためのプログラム、講師が決定さ
れ、誰(受講者)を教育するかということを検討することが必要になります。
 いずれにしても、企画担当者はマクロ的な視点からの社員全体の現状分析、
またミクロ的な視点からの個々の受講者の現状分析、2つの現状について日頃
から充分に情報収集し、検討ことが必要です。

 また、講師、プログラムついて考えると、共に研修目的にあったものを企画
することは当然のことです。どちらかを先に決めなければならないというもの
でもありません。著名人の講演会などのケースは、講師の指導力や経験に期待
するため、プログラムは講師に任せる形になることが多いと言えます。また逆
に、教育機関のパッケージ研修などのケースは、教育機関の持つノウハウや専
門性に期待するため、講師は教育機関に任せるケースが多いと言えます。

 いずれにしましても、集合研修を成功させるためには、より上位の教育目的
や教育目標と照らし合わせて、3つの要素を「バランス良く」「同時並行で」
考えることが必要です。

 逆に言えば、企画段階で煮詰まったりするケースでは、「バランス良く」、
「同時並行で」考えられていないためです。集合研修を企画する場合3つの要
素を考えるのは当然ですが、これらは全て、手段・方法でしかありません。
 かならず「何のために」という教育目的に戻って再考する必要があります。
3つの要素の内、いずれかだけは先に決まっているが、他の要素が決定しない
こともよくあります。その時は、教育目的に戻って、先に決まっていた要素を
再考することも必要です。
 例えば、新入社員研修の場合、受講者は新入社員と決まっていますが、講師、
プログラムはあとで決まることになります。講師、プログラムの企画がうまく
行かない場合は、目的や目標に戻って新入社員という要素を再考することも必
要になります。具体的に言えば、ただ漠然と新入社員と考えるだけでなく、
「3ヶ月後に即戦力になる新入社員」、「会社のポリシーだけはきっちり理解
した新入社員」と考え直すことで、プログラムや講師の選択の幅が広まったり、
たくさんある選択肢の絞り込みが可能になります。

 企画の現場では、「講師が決まらない」また「プログラムがまとまらない」
などの声を聞くことがよくあります。決まらないところだけに注目するのでは
なく、教育目的に戻って3つの要素を整合的に考えることが必要です。


             (2000/04/24 人材開発メールニュース第86号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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