Back Number

リーダーシップについて(2)
 前回もリーダーシップ開発の考え方ついて触れましたが、今回は、少し視点
を変えて、リーダーシップが高いと言われる方の行動特徴を考えることで、リー
ダーシップ開発の方向性を考えてみます。

 リーダーシップ=対人影響力=「考えや想いが伝えることができる」
 リーダーシップが高い方に共通することの一つに、「熱く語ること」があげ
られます。誰にでも経験があるかと思いますが、「思わず話に聞き入り、自分
も何かしようと思う状態」、これがリーダーシップが発揮された一つの形であ
ると言えます。リーダーには、情熱家タイプの方もいれば、日頃は物静かです
が、ある分野に関しては、非常に熱っぽく語るタイプの方もいらっしゃいます。
リーダーシップが発揮されている場面は、「話す」というよりも「語る」とい
う状態です。実際は、この後の行動がより重要になりますが、メンバーにコミッ
トメントさせる、共感を持たせることがまず重要になります。

 企業内での場面を考えてみますと、ミドルマネジメントは上位の方針や戦略
を自分の担当部署での具体的な展開を実施することが求められます。リーダー
シップが高いと言われる管理者の方に共通するのは、しっかりと自分自身の考
えを持ち、自分の考えや想いを込めて自部門のメンバーに自部門のミッション
(使命)を語る方が多いのではないでしょうか。
 またもう少し、リーダーシップが高い方の行動特性に注目すると、話し方の
特徴として「〜すべきだ。」というよりも「〜したい。」という言葉を多く使
う傾向があります。(少し周りの方を思い浮かべて下さい。)
 さらに、もう一つの特徴として、例え話を多く使うという傾向があります。
事例や例え話を活用することで、聞く側に具体的なイメージを描かせて、自分
の考えへの理解促進を行ってます。相手の状況を絶えず見ているからこそ、よ
り効果的、効率的な働きかけができると言えます。

 先行きが不透明な経営環境の中で、新しい仕事に取り組む際に、参考とすべ
き過去の事例がないケースが増えています。リーダーはメンバーにできる限り
仕事の最終的なイメージを描かせることが必要になります。そのためには、似
たような状態を思い描かせる例え話が使い方が今後ますます重要になると考え
られます。
 たとえ話は、メタファーと呼ばれています。会議や方針伝達の方法として、
意識的にメタファーを多用させることを推奨している組織もあります。
 リーダーシップは相手に対する働きかけが重要です。どう働きかけるかには
絶対的な方法は存在しません。相手の状態を見てより受容、共感を持たせるた
めに、どうするか」を考える必要があります。他者理解と話し方の工夫だけで
も、リーダーシップの発揮の仕方は、違ってくるのではないでしょうか。


             (2000/04/10 人材開発メールニュース第84号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page