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アセスメント研修概論
 アセスメント研修とは、職場から離れた環境で、専門家がさまざまなツール
を用いて、職務遂行能力の評価診断を行う研修である。進め方としては、合宿
研修の形式で、個人課題、グループ討議、演習、適正テスト、面接評価などを
実施し、作業結果と研修中の行動観察することで、マネジメント能力やスキル
を得点化するもので、研修場面における行動サンプルを評価するものである。
 アセスメント研修は、名前が示す通り、評価測定と能力開発の両側面を持つ
プログラムである。評価測定という点から見れば、特に最近大企業を中心に人
事の硬直化による昇進・昇格機会が減少する中で、納得性の高い人事を行うた
めに、客観的なデータを導入したいというニーズからアセスメント研修が導入
されるケースが増えている。また能力開発という点から見れば、研修の中で共
同作業や討議を行い受講者が相互にモノの見方や課題解決スキルが評価するこ
とで、自己評価や相互評価が進むというメリットがある。

 アセスメント研修を成功させるポイントは、目的の明確化、ディメンション、
評価者(アセッサー)の3つである。
●目的の明確化
 アセスメントは、前述の通り評価測定、能力開発という2つの側面がある。
 中途半端な形で導入すると、受講者が受講前から勝手に研修に対する固定観
念を持ち、期待すべき効果が得られずに研修を終了してしまうケースがある。
アセスメントを導入する場合、教育担当部門内での方針の明確化はもちろん、
どのような目的で実施するかをはっきりと社内に浸透させる事が必要になる。

●ディメンション
 ディメンションとは、評価する要素のことである。例えば、計画策定力、業
務統率力といった業務遂行能力を測るもの、表現力、説得力といった人間関係
能力を測るもの、積極性、達成意欲といった個人的特性を測るものなどがある。
 特に評価測定を重視する場合、対象職務に応じてディメンションの十分な検
討が必要になる。特に外部教育機関を利用してアセスメントを行う場合は、教
育機関から提示されるディメンションの定義だけではなく、その意味内容を掘
り下げて対象職務にとって適切か否かを十分に話し合う必要がある。また当然、
ディメンションに応じて、研修で利用する演習課題を決定していかなければな
らない。

●評価者(アセッサー)
 アセスメント研修では、評価の客観性を維持するために、一つの能力スキル
を評価するために複数の演習課題を実施したり、また一人の受講者を複数の評
価者(アセッサー)が評価する工夫がされている。しかし、最終的にはやはり
アセッサーの力量に頼る点が多い。研修中の限られた行動サンプルに注目して
評価するためには、専門的な技術が必要である。外部教育機関に依頼する場合
でも、アセッサーの選定は特に注意したい点である。できれば本格的に導入す
る前に、アセッサーの能力を判定するために、教育担当部門が試験的に受ける
などの工夫が必要であろう。
 また、余談であるがアセスメントを外部教育機関に委託する際に、アセッサー
を個人指名して依頼するケースが増えてきているそうである。やはりアセッサー
の力量が大きなウエイトを持つという一例であろう。人気の高いアセッサーに
関する情報は、インフォーマルな情報だが、教育担当者としては、様々なとこ
ろにアンテナを張り巡らせ、情報を収集する努力が必要であろう。


             (1999/01/18 人材開発メールニュース第22号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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