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外部教育機関の利用について
 現在、人材開発サービスを提供する外部機関は多岐にわたり、ほぼ全ての領域が
カバーされていると言える。一方、人材開発サービスを消費する企業側から見れば、
教育担当者は教育だけを専門で行っているケースは少なく、人事全般業務を兼任し
ていることが多い、また経営者自らが、社員の人事・教育を進めているところも少
なくない。このような環境のもとで、高い成果を求めていくためには、外部の教育
機関を上手く利用していかねばならない。

  外部の教育機関が提供するサービス分野を大きく分ければ、
 1)人事制度全般のサービス
    いわゆる人事制度コンサルティングと言われる分野である
 2)研修企画と講師派遣サービス
    管理職から新入社員までの階層別研修、営業,経理,人事等の職能別研修、
    問題解決,創造性開発等の目的別研修、OA,情報処理,電気,機械等の
    技術研修、資格取得研修等のあらゆる分野のメニューが準備されている。
 3)公開講座サービス
    2)のサービスを企業内ではなく、オープンコースとして行うものである。
    本ホームページでデータベース化している公開セミナーもこれにあたる。
 4)通信教育サービス
    研修同様にあらゆる分野がある。
 5)研修ビデオサービス
    新入社員、管理職、マナー、など汎用的なテーマのビデオ販売を行ってい
    るケースと企業の要望に応じたオリジナルビデオを制作するケースがある。
 6)その他
    社内インストラクターの養成
    社内研修用ケースメソッド(事例)の作成
    人材評価テストの提供
    教育用マニュアルの作成
 などがあげられる。外部機関により、1社で全てを包括的に行える場合もあれば、
独立コンサルタントのように専門分野を極めて特化しているケースもある。

 外部機関に業務を委託する場合、自社の状況を熟知した1社に限定することもそ
れなりに利点はある。しかし、だれでも得意、不得意があるように外部教育機関に
も得意分野があり、1社で自社の全ての教育課題に対し最善のものを提供できると
は限らない。原則としては、できるだけ多くの外部機関の情報を収集し、委託する
案件毎に最善のものを検討し採用する方法が望ましい。外部教育機関の情報収集に
あたっては、案件毎に基本的な要望を整理し、各教育機関に提示した上で、詳細な
企画書の提出を求めることが一般的である。
 
 次に、外部教育機関が委託した内容をどのように進めるかという点から、外部機
関を分類し、それぞれの留意点をまとめると次のようになる。
 ケース1  外部機関営業担当者 −−→ 企画担当者 −−→ 研修講師
  大手外部機関に多い、完全に役割が分担されているケースである。教育担当者
  と研修担当講師の間には3段階の意思伝達が必要となる。必ず、事前に研修講
  師と面談し、研修内容、運営方針に認識のズレがないかを確認する必要がある。

 ケース2  外部機関営業担当者 −−→ 企画&研修講師
  このケースでは営業担当者が企業の研修ニーズのヒアリングだけを行い、契約
  している独立コンサルタントに後工程を「丸投げ」する場合が多い。ケース1
  以上に早期に研修講師と面談し、課題や方針を伝える必要がある。

 ケース3  外部機関営業&企画担当者 −−→ 研修講師
  営業担当者が経験豊富で研修の専門性が高い場合に多い。企画段階では教育担
  当者の意図に沿ったものが期待できるが、少なくとも実施前には講師との面接
  が必要である。反面、営業担当者の企画能力の見極めが重要になる。

 ケース4  外部機関営業&企画&講師
  独立しているコンサルタントが直接営業しているケース。企画の初期段階から
  講師と直接面談することになるので、研修の終了まで一貫して進めることがで
  きる。しかし、このケースでは次の点に留意したい。
  ・得意分野が限定されている場合が多く、どんな教育課題を投げかけても、自
   分の得意分野に持ち込みやすい。したがって、教育担当者には、教育課題と
   研修内容の組み合わせが適切であるかの判断力が一層求められる。
  ・いつも研修講師として各地を飛び回っていることが多く、時間がとりにくい。
   企画から実施までスケジュールの調整を行う必要がある。

  外部教育機関を選定するひとつの基準として、現在利用している、またこれか
 ら利用しようとする教育機関の得意分野や委託業務の進め方を押さえておきたい。


             (1998/08/31 人材開発メールニュース第3号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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